Go to content Go to navigation Go to search Change language
ホーム>作品と宮殿>コレクションと学芸部門>フィロポイメン
作品 フィロポイメン
彫刻部門 : 19世紀のフランス
フィロポイメン

© 2011 Musée du Louvre / Thierry Ollivier
彫刻
19世紀のフランス
その勇敢さで知られていたギリシア人の戦略家フィロポイメンは、戦闘中に負傷する。自らの腿を貫通した投槍を引き抜きながら、その顔つきは苦悩と同時に戦闘に再び繰り出そうとする荒々しい意志を表現している。古代風な裸体の英雄を表現しながらも、彫刻家は戦士にロマン主義に対する強い憧れである一種の動きや抑えられた活力、豊かな表情をもたらしている。
ギリシアの英雄
紀元前222年、フィロポイメンは、セラシアの戦いに加わり、マケドニア王アンティゴノス・ドソンの軍隊で、スパルタ王クレメネオスと戦った。負傷したフィロポイメンは、毅然として自らの腿で折れた投槍を引き抜いた。この挿話は、著名なギリシア人とローマ人との対比を確立したギリシア人作家プルタルコス(46-125年頃)の『英雄伝』の中で語られている。アカイア人の戦略家であるフィロポイメンは、ローマの脅威に対抗するための古代ギリシア同盟を結成しようと試みた。メッシーナの街に対する遠征の際(紀元前183年)、彼は捕虜として囚われ、毒人参を飲むという刑に処される。
古代風の主題、現代的な仕上げ
ダヴィッド・ダンジェは裸体の英雄を古代の彫像のように彫り上げている。彼は、頂飾りの付いた兜、負い革、剣・・・といった戦士の持物を幾つか残すのみに留まっている。襞が盾の上に平広がっているマントは、古典的な美しい襞の探求の機会をもたらしている。
一方で、彫刻家は、表現力豊かな力強さやロマン主義的な特性を作品に与えるために、正確なラインと、輪郭の理想美を捧げている。堂々とした均整(大理石は実物より大きい)、力強く筋肉がみなぎった身体のほとんど誇張されるまでの起伏、大きな頭部などが、フィロポイメンを巨像へと作り上げている。威圧的な顔つき、皺のよった眉、苦悩と挑戦に満ちた眼差し、豊かな髪と濃い髭は、戦士に荒々しい印象をもたらしている。両腕の丸み、両肩の線、上げられた頭部、その動きを辿る頂飾りは、上昇する壮大な動きで彫刻に活気を与えている。
美徳の一例
彫刻家は肉体的な本質と、道徳的な存在を融合しようと試みた。右側の傷口から眺めると、彫刻は背を曲げ、足をたわめた苦悩する人間の姿を表現している。しかし反対側から見ると、そこには威厳に満ち、頭を起こし、人を脅かすような眼差しを湛えた英雄が存在する。こうして作品は、義務を成し遂げるために自らの苦痛を乗り越える英雄の毅然とした勇壮さを強調しているのである。
戦闘の当時30歳であったフィロポイメンを、彫刻家はより年老いた姿で表現している。綴りの中でダヴィッドは、歴史的事実を越えて、彼が「最後のギリシア人」(プルタルコスが命名したように)、すなわち「朽ち果てる前に嵐に立ち向かう年老いた偉大な記念像」を表現したかったと説明している。
この作品は、ルイ=フィリップの行政局から注文された、ジャン=ピエール・コルト(1787-1843)の《マラトンの兵士》や、ジャン=バティスト・ロマン(1792-1835)の《ウティカのカトー》といったその他の古代の英雄の彫刻作品と共に展示された。これらの作品は「偉大なる人物」に対する崇拝の精神を体現しており、その勇壮さと愛国的な美徳は模範として大衆に示された。
出典
- JOUIN H., David d'Angers, tome 1, Paris, 1877, p.317-321.- BRUEL A., Les Carnets de David d'Angers, tome II, Paris, 1958, p.41, 177, 269.
- The Romantics to Rodin. French nineteenth century sculpture from North American collections, catalogue d'exposition, Los Angeles County Museum of Art, 1980, n 101.
- BRESC G. et PINGEOT A., Sculptures des jardins du Louvre, du Carrousel et des Tuileries (II), Paris, 1986, p.146-148.
- Musées d'Angers, Galerie David d'Angers, Paris, 1989, p.63.
作品データ
-
ピエール=ジャン・ダヴィッド、通称ダヴィッド・ダンジェ
フィロポイメン
1837年
1831年9月27日の判決により王室管理局より注文。ルーヴル宮のためだったが、最終的にはチュイルリー庭園に設置される。
パリ
-
大理石
高さ2.29m、幅0.91m、奥行き0.98m
-
1859年、ルーヴル収蔵。チュイルリーに再度設置された後、1870年10月8日にルーヴルに再収蔵。
L.P. 1556
-
リシュリュー翼
地上階
ピュジェの中庭
展示室105
来館情報
ルーヴル美術館、チュイルリー庭園、クール・カレは、新たな通達があるまで休館・休園いたします。
美術館のチケットをオンラインでご購入された方々には、自動で返金処理が行われます。返金に当たり、特にお手続きをしていただく必要はございません。
なお、返金処理数が膨大なため、ご返金まで三か月ほどかかる場合があります。
ご理解のほどよろしくお願いいたします。