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作品 ボスコレアーレの至宝

古代ギリシア・エトルリア・ローマ美術部門 : ローマ美術

ボスコレアーレの至宝

© 1997 RMN / Hervé Lewandowski

古代ギリシア・エトルリア・ローマ美術
ローマ美術

執筆:
Marie-Bénédicte Astier

紀元79年のヴェスヴィオス火山の噴火直前に、その所有者が地中に埋めたため、紀元1世紀のローマ金銀細工の質を物語る、このボスコレアーレの至宝は、この対の銀製ゴ ブレットを含む、一連の貴重な高級食器を後世にもたらした。その装飾は人間の運命の弱さとはかなさを描いている。骸骨化したギリシア詩人と哲学者は点線で刻まれた快楽主義の格言に伴われ、今現在を楽しむよう呼びかけている。

ボスコレアーレの至宝

1895年、ヴェスヴィオ火山の斜面のボスコレアーレに位置する古代ローマのヴィラの発掘により、109個の数を誇る食器の、稀に見る規模の銀製品の至宝が出土された。それらは紀元79年、ナポリ地方を灰の下に埋もれさせた噴火以前に、所有者によってワイン樽に隠されたものであった。紀元前1世紀末から紀元1世紀の初頭に制作されたこの至宝は、ローマの金銀細工の最も輝かしい時代の一節に位置し、浮彫で装飾された飲物用の容器に対する裕福なカンパニア地方の人々の趣味を表わしている。奇妙な装飾で有名な、この金で引き立たせられた2つの銀製ゴブレットは、ラテン語で小さな升を意味するモディオリの1対を形成する。それは、その形が、麦の計量に使用される容器、モディウスのものを連想させることに由来している。片方の容器の底にはラテン語で所有者名、ガヴィアの名前と、重量が示されている。

骸骨による死者の舞踏

これら二つのゴブレットは打出し加工により、バラの花輪飾りの下にギリシアの有名な悲劇・喜劇詩人や哲学者の骸骨を表現した、類似しながらも補足的な装飾を表わしている。点線で刻まれたギリシア語は快楽主義の格言と共に銘を形成している。その一例として「生きている間は楽しみなさい。明日には何があるか分からない。」という言葉がある。クロトの監視下、運命の女神、パルカのうちの一人、メナンドロス、エウリピデス、アルキロコス、犬儒派哲学者モニモス、フェレレウスのデメトリオス、ソフォクレス、モスキオン達は、愚弄しながら人間の運命の弱さとはかなさを語っている。そのユーモアは辛辣である。しかしこの装飾は、第一に人生がもたらす快楽を享楽することを促す。前4世紀のストア派、エピクロス派の二人の創設者ゼノンとエピクロスが二匹の交尾する犬の前で論議している場面は、意味のない細部装飾ではない。というのもそれは快楽主義哲学の勝利を代弁するからである。

命の頌歌

これらの飲物容器は宴会の最中、ローマ人が企画した舌戦の際に使用された。ペトロ二ウス作の『サティリコン』の中に叙述されている『トリマルキオの宴会』のように、会食者は感覚と精神の快楽の促進を名目に、ギリシア哲学や文学を引用しながら知識を競い合う。これらモディオリを装飾する骸骨の輪の選択は、死を想像するものでもなければ大変珍しいものでもない。それは逆に命の頌歌であり今現在を楽しむことを促すものである。この主題は、テラコッタ製のゴブレットやランプ、モザイク、墓碑などの日常的な道具に、ボスコレアーレの至宝より活気は劣っているが、頻繁に表現されていた。トリマルキオ自身がこれら招待客のために、銀で接合された骸骨(サティリコン34章8から10節)を食卓の上に配置させる。それはいくら才気に満ちた詩人や哲学者でも死を間逃れないということから、人間は謙虚でいることを学ばなければならないという意味を成す。

出典

Fr. Baratte, Le trésor d’orfèvrerie romaine de Boscoreale, Paris, Réunion des musées nationaux, 1986, p. 35, 65-67 et 91

K. M. D. Dunbabin, « Sic erimus cuncti… the skeleton in graeco-roman art », Jahrbuch des Deutschen Instituts, 1986, p. 224-228, fig. 37-42

G. Richter, Portraits of the Greeks, Londres, 1965, I, p. 67, 132 et 138

A. Héron de Villefosse, « Le trésor de Boscoreale », Monuments et Mémoires, Fondation Piot, 5, 1899, p. 58-68, n° 7-8

作品データ

  • ボスコレアーレの至宝

    前1世紀末から紀元1世紀前半

    ボスコレアーレのヴェスヴィオ火山の斜面にあるローマ時代のヴィラにて1895年に発見(カンパニア州、イタリア)

    イタリア

  • 部分的に金めっき、鋳造され、溶接され、打出しされた銀

    高さ10.40cm、直径10.40cm

  • 1895年エドモン・ド・ロッチルド男爵寄贈

    骸骨のゴブレット

    Bj 1923, Bj 1924

  • 古代ギリシア・エトルリア・ローマ美術

    シュリー翼
    2階
    アンリ2世の間
    展示室662

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
地下鉄:1番線または7番線、Palais-Royal Musée du Louvre 駅
 
開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

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作品の補足情報

前1世紀末から紀元1世紀前半