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作品 ボスコレアーレの至宝、アンブレマ(象徴)の杯

古代ギリシア・エトルリア・ローマ美術部門 : ローマ美術

ボスコレアーレの至宝、アンブレマ(象徴)の杯

© 1997 RMN / Hervé Lewandowski

古代ギリシア・エトルリア・ローマ美術
ローマ美術

執筆:
Astier Marie-Bénédicte

その独創性と稀に見る質の高さから、このアンブレマの杯は、1895年にボスコレアーレから発見された銀製品の中でも、主要な作品である。それは、紀元79年のヴェズヴィオ火山の噴火の際、埋まったヴィラにて発見された。中央の女性胸像は、象の皮を被り、多くの象徴に囲まれているが、それらの解釈は明確化されていない。これはクレオパトラの肖像、または彼女の娘のものなのであろうか。それともアフリカ、またはアレキサンドリアの愚意なのであろうか。

ボスコレアーレの銀製品の至宝

紀元79年、ヴェズヴィオ火山の激しい噴火は、ナポリ一帯を破壊し、特にポンペイやヘルクラネウムなどの都市を覆い隠した。住民の日常生活を凍結させるともに、この災害は多くの貴重品や日用品などの消滅を防いだ。これらは18世紀以降、実際使用されていた場所にて発見さることとなる。1895年、火山の斜面に位置するボスコレアーレのローマ時代のヴィラでの発掘は、稀に見る規模の銀製品の財宝を出土させた。109点の食器、見繕いの品々や宝石類は、この惨事が起こる以前に所有者によって樽に隠されていた。前1世紀末から紀元1世紀初頭の間に制作されたこの貴重な品々の一式は、ローマ金銀細工が最も繁栄した時代のうちの一節に属する。この貴重な品々のうち、部分的にめっきが施されたこの大銀杯は、その独創性、そして打出しと彫刻で加工された装飾の質の高さにより際立っている。

豊富な象徴の数々

杯の内側の外枠は、月桂樹の花輪飾りと漿果を付けたミルテで飾られている。象の被り物を頭にのせた中央の若い女性の胸像は、右手にはコブラ、左手には果物が詰まった豊饒の角を持っている。この杯の女性像を伴う象徴の豊富さには驚かされる。この胸像は、アルテミスの弓と矢筒、ヘラクレスの棍棒、ポセイドンのイルカ、イシスのシストルム、へパイストスのペンチ、アイスクラビウスの杖、アポロンの竪琴、アレスの両刃の剣など多くの神々の象徴に囲まれている。
女性の肩にはライオンが、そして胸部には豹が乗っており、果物が埋め尽くすふところには孔雀が表わされている。豊穣の角はその頂に三日月をのせ、太陽神ヘリオスの胸像、鷹、ディオスクロイの帽子で装飾されている。

肖像か、それとも愚意か

この肖像の解釈には未だに多くの疑問が生じている。象の皮は、アレクサンドロス大王の東方への遠征を暗示したもので、それはしばしばライオンと豹に結び付けられた、街や地方の擬人化を意味する。よってこの像は、アフリカやアレキサンドリアの寓意を示しているとも推測される。しかしながら人物の様相は理想化されていない。髪型の加工の丁寧さ、顔の個性化への配慮は、むしろ肖像画を思い起こさせる。この豊饒の肖像は、ユリウス・カエサルとマルクス・アントニウスの愛人であった、クレオパトラ7世の顔立ちを用いたとも思われる。彼女は、前31年、アクティウムの海戦でのオクタウィアヌスの勝利の後に自殺を強いられた。神の力と王の権威を表すエジプトの象徴、聖蛇章は、この死がローマに豊かなエジプトを与えたことを呼び起こしていたのかもしれない。それで無ければ豊穣の角の上の三日月が、彼女がユリウス・カエサル(マルクス・アントニウス)との間にもうけた子供で、月に同一視される少女、クレオパトラ・セレナに同一視されているとも考えられる。

出典

- Cleopatra of Egypt, from History to Myth, British Museum, Londres, 2001, p. 312, n 324.

- BARATTE Fr., Le trésor d'orfèvrerie romaine de Boscoreale, Editions de la Réunion des musées nationaux, Paris, 1986, p. 77-81, p. 90.

- LINFERT A., "Die Tochter, nicht die Mutter. Nochmals zur" Afrika ". Schale von Boscoreale ", in N. Bonacasa et A. Di Vita (éd.), Alessandria e il mondo ellenistico-romano. Studi in onore di Achille Adriani, Rome, 1984, p. 351-358.

- HERON DE VILLEFOSSE A., "Le trésor de Boscoreale", Monuments et mémoires. Fondation Piot, 5, 1899, pp. 39-43, n 1, p. 175-186, fig. 7, pl. 1.

作品データ

  • ボスコレアーレの至宝、アンブレマ(象徴)の杯

    前1 世紀末‐紀元1世紀前半

    ボスコレアーレのヴェズヴィオ火山(カンパニア、イタリア)の斜面にあるヴィラにて1895年に発見

  • 部分的に金めっき、鋳造され、溶接され、打出しされた銀

    直径22.50cm 、高さ6cm

  • 1895年エドモン・ド・ロッチルド男爵寄贈

    Bj 1969

  • 古代ギリシア・エトルリア・ローマ美術

    シュリー翼
    2階
    アンリ2世の間
    展示室662

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作品の補足情報

脚の裏面に点々で刻まれた文字:杯の重量と付け加えられた飾りを表示。