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作品 ランのサン・ヴァンサン修道院に由来する修道院長ユーグの十字架

工芸品部門 : 中世

ランのサン・ヴァンサン修道院に由来する修道院長ユーグの十字架

© 1993 RMN / Daniel Arnaudet

工芸品
中世

執筆:
Muriel Barbier

ランのサン・ヴァンサン修道院の十字架には銘文が刻まれており、この十字架が修道院長ユーグ(1174-1205年)のために制作されたことを伝える。ユーグはランの修道院付属教会の再建に貢献した人物である。本作品は、「真の十字架」を収めた十字架形聖遺物箱のうち、先端に花形装飾があり線細工で飾られているものとしては、最古の現存作例である。エマイユからはモザン美術〔中世にライン川・ムーズ川流域に発達した美術〕の作例であることが伺えるが、小像の仕上げは典型的な1200年頃の様式を示す。

12世紀のエマイユ作品

十字架が載っている円形の脚部は、葡萄の葉のモチーフで覆われ、小さなライオンの脚3本に支えられている。葉のモチーフ上には、エマイユによる3つのメダイヨンと、宝石5点で飾られた線細工のばら形装飾が交互に置かれている。エマイユ・シャンルヴェ〔生地彫り七宝〕によるメダイヨンには、「アブラハムの犠牲」、「兄弟に売られるヨセフ」および「燃える柴の幻視」が描かれている。これら3点のメダイヨンは、これより大型の作品の一部だったと思われる。色調や人物の描き方の見事さには、モザン派のエマイユ作品との類似が見られる。

1200年頃の様式の典型例

十字架本体は、横木が2本ある「族長十字」で、先端に花形装飾がある。両面とも線細工とカボション〔宝石などを半球形に研磨したもの〕ですっかり覆われる点は、13世紀初めの金銀細工の特徴をよく示している。十字架の足元からは2本の枝が伸び、その上にはきわめて繊細な作りの聖ヨハネと聖母の小像が載っている。この繊細さは、流れるようなキリストの腰布にも同様に見られる。人物像の自然な仕上がりと衣襞の滑らかさは、ランのサン・ヴァンサン修道院の十字架が、12世紀末の数十年間に現れた新たな様式的傾向に沿ったものであることを物語る。

族長十字形の聖遺物箱

横木が2本の族長十字は東方に起源をもつが、12世紀末には「真の十字架」を収めた聖遺物箱の形として定着した。このタイプの十字架は12世紀に発展するが、ことに1204年のコンスタンティノポリスの占領後、西ヨーロッパに聖遺物がどっと流れ込む時代の発展は著しかった。第4回十字軍の際、兵士はコンスタンティノポリスを略奪し、ビザンティン帝国が保有していた財宝、とくに「真の十字架」の聖遺物を奪って行った。修道院長ユーグの十字架は、数ある「真の十字架」を収めた十字架形聖遺物箱のうち、先端に花形装飾またはゆりの花飾りがある族長十字形で、ビザンティンの例に倣って西ヨーロッパで13世紀に制作されたものとしては、最古の現存作例である。

作品データ

  • ランのサン・ヴァンサン修道院に由来する修道院長ユーグの十字架

    1180-1200年頃

    フランス、ランのサン・ヴァンサン修道院

    フランス、ムーズ県およびノール県

  • 銀に金鍍金、金の透かし細工、宝石、真珠、エマイユ・シャンルヴェ〔生地彫り七宝〕

    高さ47cm、高さ(十字架のみ)31cm、幅(十字架)12.7cm、厚さ1.50cm、直径(脚部)15.1cm

  • 1855年ランにて収蔵

    OA 4

  • 工芸品

    リシュリュー翼
    2階
    シュジェール
    展示室502

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
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開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

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