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愛の捧げ物

© 1983 RMN
工芸品
中世
このタペストリーには、宮廷生活にまつわる図像の中でもとくに頻繁に取り上げられる主題、「愛の捧げ物」が描かれている。情景は庭園の中で繰り広げられ、人物は15世紀初めに流行した衣装に身を包む。本作品は1400年頃の様式の洗練された雰囲気を伝えている。
宮廷風恋愛の主題
様式化された植物模様装飾の中心に女性が座っており、手袋をはめた左手には鷹がとまっている。これは狩の場面ではなく、貴族階級に属することを強調する決まった表現である。男性が女性の方へ歩み寄り、小さなハート型のものを差し出している。これは愛の告白を想わせる詩的なメタファーであり、恋多き人生の始まりを示している。「愛の捧げ物」という主題は、『薔薇物語』など宮廷恋愛文学にも見られる。この主題はギョーム・ド・マショーとクリスティーヌ・ド・ピザンによって広められ、しばしば象牙製の小箱や鏡入れの蓋を飾った。
人物は15世紀に流行した衣装を身につけ、白テンの裏地が付いた長いマントを羽織っている。男性はぴったりした短めの胴衣をつけ、二色のタイツをはいた脚を見せている。足には、14世紀末から流行していたプレーヌ〔つま先が長く尖って反った靴〕を履いている。女性は、たっぷりしたハイウエストのドレスを着ている。真珠で飾られた帽子からはみ出した髪の毛が、張り出した広い額の両側に広がっている。
装飾品としてのタペストリー
構成は明快で調和がとれている。タペストリーの装飾性は、濃い青という現実離れした地と、一面に広がる花束の存在によって示される。しかしながら前景に、地面を示す小さな茂みと花を散りばめた明るい色の一帯が水平に広がるために、奥行きは狭められている。両脇は、幹に節が多く葉の丸い小灌木で区切られ、背景には棘のある鋸葉状の葉をもつ樹木が茂る。野生動物や飼い慣らされた動物の姿があることで、場面が生き生きしたものになっている。
制作地は不明
タペストリーが織られた場所を突き止めることは常に困難である。15世紀初めの主要な織物産地としては、フランドル地方の町アラスを挙げるのが慣例だが、しかし同様にパリにも工房があり、カルトン(下絵)はパリで制作されたと思われる。
タペストリーは、領主の館の室内装飾として、仕切りとして、そして保温のためによく使われていた。掛ける場所を変えたり、切ったり、しわを寄せたり、荷物につめて運んだり、といったことが普通に行われていたため、状態のよいタペストリーはほとんど残っていない。パリの装飾美術館も、5点のタペストリーからなる壁掛けを所蔵しており、本作品と同じ精神を伝える宮廷場面が描かれている。
作品データ
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愛の捧げ物
1400-1410年
パリ?
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羊毛、絹
高さ2.47m、幅2.09m
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1883年シャルル・ダヴィリエより遺贈
OA 3131
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リシュリュー翼
2階
シャルル5世の王笏
展示室504
来館情報
地下鉄:1番線または7番線、Palais-Royal Musée du Louvre 駅
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)
休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日