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王-祭司の円筒印章

© 1987 RMN / Pierre et Maurice Chuzeville
古代オリエント美術
メソポタミア
この円筒印章の装飾は、シュメールの豊饒の女神イナンナを祭る典礼祭儀に従事する人物「王-祭司」を表している。彼はウルク期の都市国家のなかで最上位の身分を占めていて、実際に軍事上と宗教上の職務を兼任している。
円筒印章の出現
4千年紀後半に円筒形の印章がメソポタミアで出現した。それらはまもなく5千年紀より商品の貯蔵や輸送の安全を促す認証捺印(なついん)に使われていた平らなスタンプ印章に取って代わってゆく。この石製の小さな円筒は表面全体に彫刻が彫りこまれ、象徴的な構図を構成した複雑な図柄を写し出しながら、実際に柔らかい粘土に安易にころがされた。必要に応じて何回も複製することができるこれらの印影は、このようにして所有権の目印に利用するこができたのである。
しかし、これらの円筒印章の登場は単独の現象ではなく、社会全体の決定的な変動の一環をなすもので、その重大な表れのひとつに文字の誕生を伴った最初の町の誕生がある。円筒印章の図像は都市の中で優先した新しい社会組織を反映していて、それを支配する人物像は王-祭司の像である。
女神イナンナの崇拝
この断片的な円筒印章に王-祭司が現れるのは、彼の文化的職務の遂行においてである。彼はそこでは豊饒を司るシュメールの女神イナンナを祭る祭儀を主宰しており、この女神を祀った主神殿がウルク市にそびえ立つ。長いスカートをはき、彼の身分の特色を示す頭巾あるいは鉢巻状のものをつけた王―祭司は、女神の神殿入口前でおそらく供物(くもつ)の穂束を捧げもっているようであり、それは吹き流しで束ねられた葦束の竿(さお)を象徴している。同じように穂束を捧げもつ侍祭が彼の後ろに従っている。彼らの供物は象徴的にイナンナ女神の聖なる家畜を飼育する用途に当てられるものである。したがって円筒を頂く円錐台形の部分には、女神とその神殿の所有物である羊の群れの浮彫装飾が施されている。
穂の供物は、人間によって選択栽培された最初の植物である穀物への結びつきを、変わることなく象徴する側面を表している。その供物は、自然の一年の繰返しを統治する偉大な豊穣の女神イナンナに捧げられる。女神によるこの極めて重大な役割の遂行は、人間から女神に示される熱情的な崇拝に依存している。であるから誰よりも第一に、王-祭司が国の繁栄を保障するためにその崇拝の遂行を請け合っている。
出典
- DELAPORTE Louis, Musée du Louvre, catalogue des cylindres, cachets et pierres gravées de style oriental, Hachette, 1920-1923, p. 106, pl. 69-8.- AMIET Pierre, La glyptique mésopotamienne archaïque, CNRS, 1980, pp. 75-77, pl. 44.
作品データ
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王-祭司の円筒印章
ウルク期、紀元前3200年頃
イラク、遺跡不明
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白色石灰岩
高さ6.2cm、直径4.3cm
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1914年取得
AO 6620
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リシュリュー翼
1階
古代メソポタミア:起源から紀元前3千年紀まで
展示室1a
来館情報
地下鉄:1番線または7番線、Palais-Royal Musée du Louvre 駅
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)
休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日