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作品 絡み合った怪獣装飾のある杯(はい)

古代オリエント美術部門 : イラン

絡み合った怪獣装飾のある杯(はい)

© 1997 RMN / Hervé Lewandowski

古代オリエント美術
イラン

執筆:
Benoit Agnès

カスピ海の南西に位置するマルリク文明は、2千年紀後半に陶器と同様に貴金属製の非常に独創的な器の芸術を発達させる術を心得ていた。陶器の壺は、しばしば艶出しされた素地で成形され、人物像もしくは動物を表現していた。金属の杯は金、銀また琥珀(こはく)金製で、場面または神話上の生き物を打出し細工されていた。

マルリク文明

マルリクの人々は騎馬遊牧民であったので、それ故その生活様式と美術はカスピア海南西部の豊かなギーラーン州に位置する彼らのネクロポリス(共同墓地)からしか知られていない。彼らは文字を使用せず、住居の痕跡を残さなかったが、隣接するメソポタミアやエラムの大きな権力に対し、原料を納める役割をしていたので裕福であったと考えられている。マルリクのほとんどの品物は、紀元前14世紀から12世紀の間の鉄器時代1期のものと推定されている。マルリクの美術は、概して厳密に言えば最初のイラン人、すなわちインド=ヨーロッパ人のものとみなされている。この時期以前は、エラム系イラン人の住民と名づけている。

杯の叙述

墓地に置かれていた豪華な主要副葬品は、磨研土器の大きな壺と貴金属製の杯であった。人間や動物を模った壺は、大変洗練した形をしていた。窪んだ凹状の器壁にわずかにはみ出た底部をもつ高い杯は、決まって一重か二重の縄状装飾で縁取りされていた。
出所は不明であるが、ここに登場する壺はその形と装飾からそれらの杯に類似している。金と銀の合金である琥珀(こはく)金でできた杯は、打出し細工が施され、尖筆で刻まれている。壺の胴周りには、各々の脚にガゼルの尾を掴んでぶら下げ、口を開けた怪獣が繰り返し3度姿を見せる。

混成怪獣

この双頭怪獣は合成された生き物であり、頭と身体の一部が豹のようなネコ科の動物で、斑点が入った毛皮をもち、翼があり、人間の手と腕をしている。その上、下肢はとぐろを巻いた蛇に似て鱗があるが、それらは猛禽の爪で終わっている。
各々の動物の表皮のタイプに応じ、違った仕方で細部にわたり細心の注意を払って彫金細工が施されている。ネコ科の動物には点刻した円、蛇には楕円の板の線状、鳥の爪には菱の碁盤目、翼には山形文と線影、ガゼルの毛並みにはさらに間隔を詰めた線影で表されている。
この混成怪獣の性格はあまり明確ではない。ただし、それは諸動物の支配者の立場にある、彼より弱い種を支配する生き物として現れる。双頭怪獣と諸動物の支配者の姿勢は、疑う余地もなく紀元前14世紀の中期アッシリア時代の印章彫刻からの借用であり、マルリクの遊牧文化の金工たちが同時代のメソポタミアの大国と接触していたことを実証している。

作品データ

  • 絡み合った怪獣装飾のある杯(はい)

    紀元前14世紀から12世紀の間

    イラン、カスピ海南西、マルリク地方

  • 琥珀(こはく)金(金と銀の天然合金)

    高さ11cm、直径11cm

  • 1956年11月取得

    AO 20281

  • 古代オリエント美術

    シュリー翼
    1階
    イラン:鉄器時代のイラン(紀元前14‐紀元前6世紀中頃)と新エラム王国
    展示室306

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
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開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

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