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肝臓占いの模型

© 2007 RMN / Franck Raux

古代オリエント美術
メソポタミア

執筆:
Benoit Nicolas

銘の入ったこの模型は、王宮の室108から出土した肝臓の32個がセットになった一部である。メソポタミアにおいて、肝臓は思考と感情の最も重要な器官とみなされていた。占い師による内臓検査は、未来を予言するために用いられていた。肝臓の奇形や異常を粘土に模写され、それに由来する吉凶の前兆がそこへ刻み込まれたのである。これらの肝臓模造は、神官たちの手引書であり、また、あるいは卜占(ぼくせん)学校の実演用の切片でもあった。

古代の占い

1935-1936年、アンドレ・パロによって着手された発掘調査の途中で、王宮108室で出土した粘土板の中から、銘の入った粘土製の肝臓32個が発見された。この標本は、古代占いの一分野である肝臓占い(生贄(いけにえ)の羊の肝臓検査)の一組で、最古のまた直接の記録の一部である。メソポタミア独自のこの現象は、著しい専門文学を生み出し、中でも動物の臓物を観察す腸卜(ぼく)と更に新しい星占いは、ふたつの主な形態である。同様に、夢判断または奇形児誕生の解釈も実践されていた。2千年紀初頭から発達した肝臓占いの役割は絶えず増大していった。肝臓占いは、早くも先サルゴン時代(3千年紀)に立証されているが、しかし、マリの肝臓は観察された最古のオミナ(前兆となるもの)である。

肝臓占い

生体の中で肝臓が占める場所は、古代人に関心を寄せられていた。また、メソポタミアでは、それが思考と感情の中枢であって最も重要な器官とされていた。生贄の羊や子ヤギの肝臓を調べる神官たちは、未来の予言の際に前兆目録と粘土製肝臓の2つのタイプの資料を携帯していた。初期古代から写された目録は、「もし、肝臓のこれこれの部分にこれこれの異常があれば、これこれが起こるであろう」というふうに、さまざまな肝臓の変化を形にして、それに組み合わせられた前兆を調査して作られていた。異常が起こると歴史上の出来事に結びつけ、それが過去からのお告げであるとみなされ、それにより、占い師が未来に関して結論を引き出すという形で行われていたと考えられる。そのようにして、予兆の信憑(ぴょう)性が保証され、また、占い師に熟察された「出来事のモデル」目録が作成された。それは、「誰それ(王の)前兆…」という形で、しばしば粘土製のモデルに要約されていた。粘土で模られた肝臓に変質が模造され、それに相当する前兆が刻み込まれていた。そのように、この銘文は、専門占い師のための手引書を、更にまた卜占学校のための手本を成していた。

占いと権力

この占い術は、王や国家に興味を注ぐ世間一般の俗人に向けられることはむしろ稀であった。マリの古文書では、王が行動に移す前に必ずト占に助言を求めていたと、権力行史における予言の重要な役割を適切に示している。都市や公共建造物の建立儀礼には、予言の影響力を伴っていた。またそれは、王が敵国の都市崩壊を企てるときにでもであった。したがって、この標本に「小都市の破壊に関する前兆」(表に3行の碑文)、それから「もし、王が山か平野の方へ出かけるなら、…」(裏に2行)と記されているように、予言をよび起こしているのではないだろうか。

出典

- ANDRE Béatrice (notice), Naissance de l'écriture, cunéiformes et hiéroglyphes, catalogue d'exposition, galeries nationales du Grand Palais, 7 mai - 9 août 1982, Éditions de la Réunion des musées nationaux, 1982, p. 252, n 201.

- ANDRE Béatrice (notice), L'Aventure des écritures : naissances, catalogue d'exposition,  Bibliothèque nationale de France, 1997, p. 24, fig. 1.

- RUTTEN M., "Trente-deux modèles de foies en argile inscrits provenant de Tell-Hariri (Mari)", in Revue d'Assyriologie XXXV, 1938, pp. 36-70, n 18, pl. IX.

作品データ

  • 肝臓占いの模型

    前19-18世紀

    マリ(シリア)、王宮、室108

  • 粘土製肝臓

    長さ66.5cm、幅59cm、厚み33cm

  • 1935-1936年、A・パロ発掘

    AO 19829, AO 19830, AO 19831, AO 19832, AO 19833, AO 19834, AO 19835, AO 19836, AO 19837, AO 19838, AO 19839, AO 19840, AO 19841, AO 19842, AO 19843, AO 19844

  • 古代オリエント美術

    リシュリュー翼
    1階
    メソポタミア:紀元前1千年紀‐紀元前2千年紀
    展示室227

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