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舟形杯

© 1999 RMN / Jean-Gilles Berizzi

工芸品
17世紀

執筆:
Barbier Muriel

フランス王室の玉類コレクションにはイタリア製の壺が多いが、ゲルマン系の工房で制作された作品も数多くある。 神聖ローマ皇帝ルドルフ2世のモノグラムが入ったこのルーヴル美術館所蔵の舟形杯は、ルドルフ2世によってプラハに招聘されたイタリア人宝石細工師、オッタヴィオ・ミゼロニ(1569年頃–1624年)の作品である。この壮大な碧玉の舟形杯はルイ14世(1638–1715年)のコレクションの中で最も大きい壺である。

オッタヴィオ・ミゼロニの工房

1576年より神聖ローマ皇帝になったルドルフ2世(1552‐1612年)は、ミラノ製の玉類に比肩できる作品を制作する堅石の工房を創設するため、プラハにオッタヴィオ・ミゼロニ(1569年頃‐1624年)を招聘した。皇帝の注文に刺激を受けて、ミゼロニは独自のスタイルを発展させた。彼の創作は伝統的な形状を離れ、それぞれの石が持った自然の形に着想を得るものであった。装飾の面では、渦巻摸様や様式化した葉摸様がかすかな浮彫もしくは陰刻で施されている。ルーヴル美術館の《 碧玉の舟形杯》は最も壮麗なミゼロニ作品のひとつである。ルーヴル美術館はこの宝石細工師の他の作品も所蔵している。オッタヴィオ・ミゼロニの工房は彼の息子と孫に引継がれ、1684年に孫が没するまで存続した。それまでに大成功を納めている。

並外れた石

この舟形杯は並外れた大きさの分厚い碧玉の塊を彫って制作された。ミゼロニの仕事はある種の伸びやかな出来栄えを示しているが、数ヶ月に及ぶ作業だったに違いない。この細長い舟形杯は先端が丸みを帯び、中央が狭まっている。非常に厚い縁も、同様に丸くなっている。装飾としてかすかな浮彫が彫られている。長辺の中央には 長い髭を生やした怪人面が縁どりの刳形から生じたかのごとくあしらわれている。短辺には有翼の女性のトルソと、ルドルフ2世を示す帝冠の下のモノグラムI.R.I.がある。脚には艶のない溝が彫られている。ルドルフ2世はこの作品に大変満足し、同じ年にオッタヴィオと彼のふたりの弟に貴族の称号を与えた。

不思議な運命をたどった舟形杯

この舟形杯はルドルフ2世の美術品蒐集室目録の中で唯一ミゼロニの名が記載されている作品である。この舟はもとから金めっきした銀の台座にのっていたことがわかっている。現在の金めっきした銀による艶消しの台座のことかもしれない。しかしながらこの台座は、他のミゼロニ作の壺に付いた金具とはずいぶん違っている。よって後の時代にフランスで変えられた可能性もある。事実、舟形杯は1653年から1661年の間にマザラン枢機卿のコレクションに入っており、その後ルイ14世のコレクションとして王室の他の玉類の中に認められる。これはルイ14世コレクションの中で最も大きな壺として記載され、重要視されていた。ルネ=アントワーヌ・ウアースによって描かれたヴェルサイユ宮殿の豊饒の間の天井画にこの舟形杯が表わされており、この作品がいかに有名であったかを物語る。フランス革命の後、この舟形杯は中央芸術博物館というルーヴル美術館の前身に収蔵されて今日に到る。

出典

ALCOUFFE Daniel, Les Gemmes de la Couronne, Editions de la Réunion des musées nationaux, 2001, p. 343-344.

作品データ

  • オッタヴィオ・ミゼロニ

    舟形杯

    石:1608年、金具:1608年頃?

    神聖ローマ皇帝ルドルフ2世のコレクション、マザラン枢機卿のコレクションを経て、ルイ14世コレクション

    プラハ

  • 碧玉、金めっきした銀

    高さ19.6cm、幅57cm、奥行き33cm

  • MR 143

  • 工芸品

    ドゥノン翼
    2階
    アポロンのギャラリー
    展示室705

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
地下鉄:1番線または7番線、Palais-Royal Musée du Louvre 駅
 
開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

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作品の補足情報

舳先にモノグラム:帝冠の下にI.R.I. (ルドルフ2世 )