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鏡の蓋

© 1990 RMN / Daniel Arnaudet

工芸品
中世

執筆:
Isabelle Balandre

もともとは鏡を嵌めてあったこの2つの金製メダイヨンは、国王シャルル5世の弟アンジュー公ルイ1世の目録に記載されている。構図はしっかりとしており、6人の人物が建築モチーフの中に収められている。本作品で用いられた金地浅浮彫りに半透明エナメルをほどこす技法は、1400年頃に諸侯の宮廷で生み出された作品を特徴づける、洗練された金銀細工技法である。

アンジュー公ルイ1世のコレクションで唯一の現存作品

この金製の蓋は、シャルル5世の弟アンジュー公ルイ1世の豪華なコレクションのうち、現存する唯一の作品である。公が1379-1380年に作成させた目録には、確かに数多くの金銀細工作品が記載されているが、イタリア遠征の費用を捻出するために、公はこの品々を売却しなければならなかった。

2つのメダイヨンはかつて金具で接続され、鏡を入れる一種の容器をなしていた。この鏡入れの両面は対称になるように装飾されていた。片面では聖母が片手に書物をもち、幼子イエスに授乳している。両側には、福音書記者聖ヨハネと、殉教の刑具である車輪を手にしたアレクサンドリアの聖カタリナがいる。もう一方のメダイヨンでは教皇の三重宝冠を被った父なる神が、神の子羊を指差す洗礼者聖ヨハネと、聖シャルルマーニュ〔カール大帝〕と共に描かれている。814年に死去したこの皇帝は、神聖ローマ皇帝フリードリヒ・バルバロッサ〔赤髭王〕の請願によって1165年に列聖された。ドイツとフランスで、とりわけ14世紀にヴァロワ家の王権を正当化するために、この聖人皇帝は盛んに崇拝された。

前景の欄干と、上に切妻壁とピナクル〔尖塔〕が載った三葉形アーチが作る天蓋は、建築的空間を暗示している。

人物像は表情豊かで、広い額と大きな目、ほっそりした指の長い手をもつが、これは明らかに、1370-1380年頃にパリで活躍した北方出身の金銀細工師たちの作品を想起させる。

当時の洗練された美術

金地浅浮彫りに半透明エナメルをほどこす技法は、14世紀末のイタリアに現れた、非常に細かい作業を要する技法である。金属板を彫り、色のついた半透明エナメルでそれを覆うものである。背景の緑の半透明エナメルを透かして、点を刻んで描いた唐草模様が見える。光輪は真珠を模した乳白色のエナメルの雫で飾られているが、ここに見られるように、本作品はきわめて手が込んでいる。
聖母のメダイヨンには驚くほど鮮やかな色調が用いられている。ことに明るい赤は、金銀細工師たちが研究を重ねた末やっと手に入れたことで知られる。もう一方の面は対照的に、より柔らかな色調で微妙な濃淡が加えられている。
この蓋は、1400年頃に諸侯の宮廷で盛んに制作された、洗練された工芸品の作例に数えられる。

出典

- Paris 1400. Les Arts sous Charles VI, Catalogue d'exposition, Paris : RMN , 2004

- Les Fastes du Gothique. Le Siècle de Charles V, Catalogue d'exposition, Paris, RMN, 1981, pp. 262.

作品データ

  • 鏡の蓋

    1375-1380年頃

    アンジュー公ルイ1世(1384年死去)のコレクション

    パリ

  • 金地浅浮彫りに半透明エナメル

    直径6.50cm (MR2608)直径6.80cm (MR2609)

  • E. デュラン・コレクション、1825年収蔵

    MR 2608, MR 2609

  • 工芸品

    リシュリュー翼
    2階
    シャルル5世の王笏
    展示室4

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
地下鉄:1番線または7番線、Palais-Royal Musée du Louvre 駅
 
開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

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