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作品 鳥の集まった木の杯

イスラム美術部門 : セルジューク朝・モンゴル帝国・イスラム教徒の地中海世界

鳥の集まった木の杯

© 2007 Musée du Louvre / Claire Tabbagh

イスラム美術
セルジューク朝・モンゴル帝国・イスラム教徒の地中海世界

執筆:
Makariou Sophie

基本的には左右対称の構図を採用しているものの、この杯に表わされた鳥の集会の図像の魅力を軽減するものではない。ラスター彩の装飾の質と密度の高さは、この杯に高級感を与えている。最初は、シシリア島で制作されたものだと推定されていたが、おそらく、12世紀のスペインで制作されたもので、ファーティマ朝のエジプトから来た陶工の手によると考えられている。

鳥の集会

細い幹を中心線とする左右対称に枝分かれした枝に、横向きの鳥が三羽ずつ、配置されている。褐色のラスター彩に、金属針の毛彫りで、鳥の翼が描かれている。鳥は嘴に丸い葉のついた茎をついばんでいる。中央の木の先端は、架空の丸くふくらんだ二枚の棕櫚葉で終わっている。この棕櫚葉も、ラスター彩上に、毛彫りの模様がある。頂点には、中央の碁盤の目の入った植物のモチーフを中心に、二羽の鳥が、背中合わせで表わされて、首だけ後ろを向いている。このはっきりした左右対称の構図は、上の方では木が傾き、下の方では、二羽の鳥が一羽は下を向いて、もう一羽は後ろを向いているという、それぞれが勝手な方向を向いた配置によって、斜めになっている。表面全体が、鳥と丸い葉、披針形の葉、茎にある節、地に散らした円形模様で、 密度高く被われている。

スペインで初めて製作されたラスター彩陶器

12世紀のスペイン製と推定されるラスター彩陶器群に、この作品に表現された植物装飾が結びつけられる。構図に少々調和の欠けた印象を受けること、左右対称の軸が傾いていることなどは、スペイン製の陶器に見受けられるものである。しかし、この杯のラスター彩の褐色に緑の光沢のある色調は、スペインの大半のラスター彩が黄色であるゆえに、あまりないものである。足は低く、腹は半球を描き、縁はない。広い表面は装飾のためにある。これに非常に近い色のラスター彩で、やはり針で入れた毛彫りの模様のある器が、建築装飾材料として、サン=アントナン=ノーブル=ヴァル市(タルヌ=エ=ガロンヌ県)の市庁舎の正面の壁に嵌め込まれている。この建物は、1140年から1150年に建てられた。ということは、このラスター彩の制作時期を、12世紀の中頃と推定できる。

問題を含んだ来歴

この鳥の集まった木の杯は、シシリア島で見出されたことで有名である。しかし、この来歴については、いかなる証拠もない。この杯が建築の装飾に使われていたというのは、疑わしいようだ。なぜなら、この作品の保存状態が、非常に良いからだ。おそらく発見された土地であることから、この作品を長い間、理由もなく、シシリア島での製作としていたのであろう。しかしながら、この作品は、12世紀にアンダルシアで製作されたものに、ぴったり合致する。歴史的原資料や、考古学上の発見(カラタユド、ムルシア、マラガ)によって、幾つかの製作地が知られている。これらの作品群は、エジプトの12世紀、ファーティマ朝時代の末期に製作されたラスター彩との幾つかの共通点が認められる。ファーティマ朝の陶器は、地中海沿岸の西側まで普及していた。アンダルシアの製品の模範となった可能性があるが、また、ファーティマ朝の崩壊によって、スペインに移った陶工が制作したとも推測できる。

作品データ

  • 鳥の集まった木の杯

    11–12世紀

    スペイン

  • 粘土質陶器、失透性釉薬上、ラスター彩、毛彫

  • 1961年、クローディウス・コート

    MAO 380

  • イスラム美術

    リシュリュー翼
    地上階
    ファティマ朝 909‐1171年、西方イスラム世界 10‐15世紀

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
地下鉄:1番線または7番線、Palais-Royal Musée du Louvre 駅
 
開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

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